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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第44章 剣と秘薬




太陽が徐々にオレンジ色に染まる中、モモとコハクは山へと向かって歩いていた。

コハクの手には、先ほど購入した灯籠がある。

モモが選んだワノ国の灯籠。
値段が高いにもかかわらず、彼女が迷わず購入を決めたことに、コハクはそれほど意外と思わなかった。

ワノ国が誇る花。
“桜”の絵柄をコハクも見たことがあったのだ。

(エースがくれたカップだ…。)

いつか、彼がモモに買ってきた土産品。

モモはとても気に入っていて、割ってしまった時、ずいぶん気落ちしていたから。

そのすぐ後だ。
エースの死を知ったのは。


『お前の父親が、俺のせいで死んだとしたら、どうする?』


それはローがコハクに投げかけた質問。

コハクは隣でまっすぐ前を見つめながら歩く母親を見た。

(父さん…か。)

一瞬迷って、それから意を決して口を開く。

「母さん。」

「なぁに?」

「その花って、前にエースが持ってきたカップに描かれていたやつだろ。」

コハクの指摘に、モモは僅かに目を見開く。

「そうよ。覚えていたのね。」

今よりずっと幼かったコハクが、覚えているとは思わなかった。

「うん。…なあ、母さん。」

「なぁに?」


「オレの父さんって、…エースなのか?」


「え…ッ?」

今度は驚いて、思わず足を止めた。

コハクが父親のことに関して、こうも突っ込んで質問をしたことはなかったし、その内容にも驚いた。

「エースがオレの父さんなのか?」

再び問われ、モモは慌てて首を横に振った。

「ち、違うわ…! エースは友達よ!」

とんでもない誤解だが、思えばコハクの傍には大人の男性といえばエースくらいしかいなかった。

勘違いされても仕方がないことに、今さら気づいた。



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