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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第44章 剣と秘薬




「子供ってだけで得することは意外と多いのよ。子供に戻ったつもりで出掛けてきたら?」

滅多にあることではないのだし、楽しまなきゃ損だとナミは言う。

どのみちログが溜まるまで、あと数日の時間が必要だ。

「そうだな…、オレも少し街を見て回りたいし。母さん、一緒に出掛けようか。」

「え、でも…。」

自分が迷惑を掛けているというのに、遊んでしまっていいのだろうか。
迷いながらローを見上げた。

「行ってこいよ、時間を無駄にしても仕方ねェし。」

「そう…? じゃあ、ローも一緒に来てくれる?」

背中を押されたことにより、モモも出掛けることに前向きになれた。

「イヤ、俺は少しやりたいことがある。お前らだけで行ってこい。」

たいした用事ではないのだが、童心に戻るというのなら、自分はいない方がいいだろう。

それに、子供2人を引き連れた自分の姿は、あまり想像したくないものだ。
たぶん、悪い意味で人目を引くに違いない。

昨日散策した限り、この街はとても治安が良い。
モモとコハクだけで行動しても、問題はないはずだ。

「ホラ、適当にぶらついてこい。」

街でなにか買えるように、いくらかのベリーをコハクに渡した。

「サンキュー、気前いいな。母さん、行こうぜ。」

「うん。」

早速出掛けようとする2人を、ナミが「待って!」と呼び止めた。


「モモ、ほら、帽子を被って行きなさいって言ったじゃない。」

昨日ナミに借りたばかりの帽子を手渡された。

「いくら若くなったからって、紫外線をナメちゃダメよ。」

「…忘れてた。」

どうにもそういうところに気が遣えないでいる。

「知らない人についていっちゃダメよ?」

「ナミ…、わたし、子供じゃないから。」

本当の子供扱いに、モモは眉をひそめる。

けれど、帽子を受け取って歩き出すモモの足取りは、どこかスキップ混じりだ。


「ふふ、なんだか“初めてのお使い”みたいね。」

「なんだそれは。」

「子供だけで行く、初めてのお出かけのことよ。まあ、トラブルが付き物なんだけどね。」

「……。」

くだらない。
モモは子供ではないし、コハクはしっかり者だ。

トラブルなんて、起きっこない。

なのになぜか、ローの胸に不安の種が宿った。



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