第44章 剣と秘薬
サクヤと話を終えたモモは、なんだかモヤモヤした気持ちを抱えたまま、サウザントサニー号のメインデッキへとやってきた。
すると、ミカンの木の手入れをしていたナミが声をかけてくる。
「あら、モモ。どこに行ってたの?」
「ちょっと向こうで…暑さをしのいでいたの。」
本当の理由など言えず、適当に誤魔化した。
「ああ、今日は日差しが強いもんねー。ちゃんと紫外線対策はしたほうがいいわよ。」
「紫外線対策か…。」
正直、したことがない。
でも、強い日差しはジリジリと肌を焼くし、炎症してしまう前に処置は必要かと納得した。
「それにしても暑いわ。わたし、こんなに強い日差しは初めてかも。」
これだけ強い日差しなら、野菜もさぞかし美味しく育つだろう。
あとでいくつか苗を外に出してみようか。
「あら、そう? しばらくはこんな気候だから覚悟しといてね。次の島は夏島だから。」
「夏島!」
ここ最近、ずっと暑い日が続いていたと思ったら、島が近づいていたのか。
それも夏島。
モモが夏島を訪れるのは、初めてのことだ。
「わたし、夏島は初めてだわ。どんな島かわかっているの?」
「そうなの? それじゃ、航海しがいがあるわねぇ。次の島は海底火山のある自然豊かな島よ。」
「海底火山…!」
それはすごい。
普通の火山はもちろん、海底火山など見たこともない。
とはいえ、海底にあるのだから見られるものではないだろうが。
島に上陸するのは魚人島以来のことだ。
新世界に入ってからは初めてだということを思い出し、知らずと心が躍る。
悩みごとはひとつも解決していないけど、とりあえず今は目先の冒険に夢中になりたかった。
「早く着かないかしら。」
日差しでキラキラと輝く海平線を眺め、島の存在を探す。
「そんなに急に着かないわよ。明日には到着するだろうし、落ち着きなさい。まったく、あんた なんだかルフィみたいね。」
久しぶりに言われた指摘に、懐かしさのあまり笑った。