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セイレーンの歌【ONE PIECE】

第44章 剣と秘薬




長いと感じられた口づけだったが、実際にはすぐに離れていった。

それをつい名残惜しく感じ、少しの間、ぼーっとしてしまう。

そんなモモの心情に、幸いローは気づくことはなく、ポツリと呟いた。


「…いい眺めだな。」

「え…?」

眺め?
なんのことを言っているかわからず、ローの視線の先を追った。

眺めと言うには、ローの視線は下の方を向いていて。

つまりは、掛布で隠されたモモの身体を。

忘れていたが、今モモは裸だったのだ。
しかも、急な展開に掛布はずり落ち、かなり際どいところまで下がっていた。


「……ッ!!」

ようやく自分の姿を意識したモモは、燃え上がるほど顔を赤くした。

「み…、見ないで…ッ」

かなり今さらだが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
急いで後ずさり、距離をとる。

「そう言われても、昨夜さんざん見尽くしたが?」

「そ、そういう問題じゃないの!」

今、ローの頭の中では昨夜の行為が蘇っているのだろうか。
そう考えるだけで頭から湯気が出そうだ。

しかし、なぜ自分には細かな記憶がないのだろう。

「き、着替えるから…、出て行って。」

拒否されたらどうしようかと思ったが、モモの予想に反してローは素直に立ち上がる。

自室に繋がるドアに向かうローを見て、心の底からホッとした。

ようやくひとりになれる。

なぜこんなことになったのかじっくり考えたいし、目覚めてから止まない頭痛をどうにかしたかった。

まずは、頭痛薬…。
のろのろと立ち上がり、薬棚を見た。

「ああ、そうだ…。」

「な…、なに?」

忘れていたとばかりに振り返ったローに、つい身構えてしまう。

「薬を飲むつもりでいるなら、頭痛だけじゃなく二日酔いに効くものを飲めよ。」


「え……?」

二日、酔い…?

待って、待って。

じゃあ、この頭痛の正体って。

記憶が曖昧な理由って。

ポカンと開いた口が塞がらないモモに、ローはニヤリと意地悪い笑みを残して扉の向こうへ消えていった。



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