第43章 覚悟
かつて、モモと出会った頃、彼女を無理やりに抱いた。
あの時、自分の中にこれほどの欲情があったのかと驚いたものだ。
けれど、それも今ほどではないだろう。
今、腕の中にいる彼女は、例え酒のせいだとしても、嫌がりもせずローを受け入れてくれる。
「ロー…ッ」
それどころか、その可愛らしい唇で紡ぐのだ。
他の誰でもない、自分の名前を。
これほど満足したことはない。
これほど幸福だと思ったことはない。
ただ名前を呼ばれただけなのに、こんな気持ちになれるなんて不思議だ。
「…モモ。」
自分が呼んだって、彼女が同じ気持ちになるはずもないとわかってはいるけど、それでも愛しさが止まらない。
「んんッ、…は…ぁッ」
繰り返される律動に、モモの口からは乱れた呼吸と嬌声が上がる。
激しい欲望を全力でぶつけているのだから、息が上がるのも無理はない。
けれど、それでも名前を呼んで欲しくて堪らない。
「モモ、俺の…名前を呼べ。」
「……?」
とろりとした金緑色の瞳がローを写す。
かろうじて合った焦点は、今にも飛んでいきそうだ。
限界が近いのだろう。
でも、それはこちらも同じこと。
「名前を…、…呼べ。」
「あぁ…んッ」
ずるりと引き抜いた屹立を一気に最奥へと穿つと、彼女の身体がぶるりと震える。
呼ばないのなら、意識を飛ばすことも許さない。
太腿を抱え上げ、さらに重く腰を突き上げる。
「あ…ッ、も…もう…ッ」
瞳を潤ませながらむちゃくちゃに乱れる彼女の姿は、見ているだけでも達しそうだ。
「モモ…ッ」
懇願するように唇を寄せれば、彼女の口から甘い声が漏れる。
「ロー…、ん…好き…ッ」
「……ッ」
想像以上の言葉に熱く煮えたぎった欲望が膨れ上がる。
敏感な蜜壁を擦り、強く打ちつければ限界を迎えたモモが身体を引きつらせた。
「あ…ッ、あぁ…ッ!!」
ローの背中に爪を食い込ませながら意識を飛ばす彼女から、張りつめた楔をギリギリのところで引き抜き、腹の上に熱い欲望を吐き出した。