第43章 覚悟
それから間もなくして、クルーたちは次々に起き出し、サニー号のキッチンで朝食が始まった。
昨夜のこともあって、ルフィの様子が気になったモモであったが、そんな心配などよそに彼はいたって普段通りだった。
「なァなァ、宴を開こうぜ! トラ男たちとも合流できたんだし。」
あっという間に朝食をすませたルフィが、そんなことを言い出した。
「必要ねェ。そんなことでいちいち騒いでられるか。」
ばっさりローが切り捨てると、唇を尖らせたルフィからブーイングが飛ぶ。
「いいじゃんかよ、別に。…いや、やる! もう決めた!」
「オイ、勝手に決めるな。」
苛立たしげにローは眉を寄せるが、当然聞く耳なんて持つ相手ではない。
「まぁまぁ、いいじゃないッスか船長。」
機嫌が悪化していく己の船長を宥めようと、横からペンギンが声をかける。
「それだけ歓迎してくれてるってことなんスから、ありがたく受けましょうよ。」
「…お前は酒が飲みたいだけだろ。」
昨夜も遅くまで酒を飲み交わしていたペンギンに、歓迎もなにもあったものではないだろう。
まだほのかに酒臭い。
「あ、バレました?」
素直にテヘヘと笑うペンギンに軽く頭痛を覚えながらも、これ以上反対するのも時間の無駄だと感じて、この話題は早々に諦めた。
「ちょっと、あんたたち。宴を開くのは結構だけど、それは夜にしてちょうだい! …気圧が変わったわ。」
ナミの一言で今までのダラダラモードは一変。
みんな椅子から腰を上げた。
「気圧?」
状況を理解できないモモは首を傾げた。
「ええ。新世界って、これまでの海より気圧の変化が著しくってやになっちゃう。これからスコールがくるわよ。」
ため息を吐きながらナミが言うものだから、モモは驚いてしまう。
なぜなら、空はピカピカの晴天だったから。
「こいつ、身体で気圧を感じ取るからな。安心しな、ナミの予報は外れないぜ。」
立ち上がったウソップが、まるで己の自慢かのように、長い鼻を反らせて言い放つ。
「そうなの? すごいわ! ねえベポ、あなたもいつもそうやって予報してるの?」
己の親友兼航海士に尋ねれば、その白クマはガックリと肩を落とした。
「役に立たないクマでスミマセン…。」
「え? あ…。」
そういえば、ベポはちょいちょい予報を外す。