• テキストサイズ

セイレーンの歌【ONE PIECE】

第42章 追憶のひと




メルディアの話だと、エースは“黒ひげ“こと、マーシャル・D・ティーチとの闘いに敗れ、海軍に突き出されたそうだ。

世界一の監獄といわれるインペルダウンに収監され、その後、処刑が執行された。

たくさんのエースを想う仲間が彼を救おうと動いたけれど、あと一歩というところで命を落としてしまった。

その模様は、見せしめのためか全土に生中継されたという。

メルディアはモモとエースが友達だと知っていたため、テレビを見たあと、そのまますっ飛んできてくれたらしい。

この島にはテレビなんてないから。


「エースを救う戦いで、あの四皇“白ひげ”も死んだというから驚きね…。」

白ひげ。
エドワード・ニューゲートのことを、エースは“オヤジ”と呼んで慕っていた。

そんな豪傑まで死んでしまった事実を、モモはどこかぼんやりと聞いていた。

手のひらが痛い。
指の先が白くなるほど強く、握りしめているから。

痛い。
だから、夢じゃない。

嘘だと叫んで、メルディアを詰りたかった。

でも、彼女がモモに嘘を吐かないというのは、誰よりも自分がわかっている。

それになにより、今、目の前にある小瓶。

この中には、エースがくれたビブルカードが入っていた。

入っていた…はずだった。

でも、今は空っぽ。

魔法みたいに消えてしまったビブルカード。
モモは今の今まで、そんな事実にも気がつかないままだった。


どうして…?

エースはいつも、モモを助けてくれた。

それなのに、どうしてわたしは、この命の紙が燃えた瞬間、なにも気がつかないで、ただ呑気に過ごしていたのだろう。

どうして…?

次があるなんて、どうして信じていたのだろう。

この海では、なにがあるかわからないのに。

例えば自分が、愛しいあの人と別れてしまったように…。



/ 1817ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp