第2章 第2話
雨が降ってきた。ぱらぱらと降ってきた。空は、これからもっと雨がひどくなりますよと告げるかのようにどんどん暗くなってきている。予報は雨じゃなかったはずなのに。私は、慌てて鞄から折り畳み傘を広げる。そして、雨がひどくなりませんようにと祈りながら、足早に駅へと向かう。
電車に乗り込んだ瞬間、ぱらぱらと降っていた雨は本降りになり、雷までもが鳴りだした。間一髪でそれほど濡れずに済んだことに安堵しながら、私は電車の中で目を閉じる。やはり脳裏に浮かぶのは渚のことだ。彼女について特に多くのことを知っているわけではないが、どうして彼女が死ななければならなかったのか、などとどうしようもないことを考えてしまう。こんなこと、警察が一週間を費やしても全く分からなかったのだから、私が考えたところで分かるはずもない。でも、この「何故」は、今はまだ払拭できない問いなのだ。この問いに対する答えは、時間が教えてくれるのだろうか。それとも、この問い自体を時間が風化させてくれるのだろうか。私には分からない。