第1章 審神者として
「…………」
清光と安定は面識があるのか普通に話しかけている。
ただそれを見ている事しか出来ない。
と、目が合った。
「僕の新しい主さんですか?」
一歩前に出てにこやかに笑う彼の雰囲気は物凄く柔らかい。
「……弦岐陽菜です。」
久しぶりのこの感覚に思わず固まってしまう。むしろ鍛刀が苦手な私は未だに自分が鍛刀したのかすら疑わしいところだ…。
「僕は、堀川国広と言います。」
脇差です。そう最後に付けたしながら片手をこちらに向けてくる国広くんに手を出そうとしたところで―……
「はーいそこまで~!」
「!?ちょっと清光!」
国広くんと握手するはずだった手は清光の両手に包まれていた。
「俺の主とあんまりイチャイチャしないでくれますか~?」
国広くんに向かって舌を出す清光の頭を叩く。
「俺のじゃないから、どちらかというと皆のだから。」
「でも主、俺のこと可愛いって言うじゃん…」
「それとこれとは別。」
ここまで言って国広くんの困っている顔と、安定の呆れ顔が目に入った。