第1章 審神者として
「…よし、終わり。」
それからしばらくして、清光の手入れが終わった。
少し傷が付いていただけなのに大袈裟に立ち上がって、両手を伸ばしたり腰を曲げたりと毎回忙しい。
「もういいでしょ、安定も待ってるから戻りなよ。」
手入れ道具を直しながらそう言うと、背後に気配がした。
「あーるじっ!」
「…だから、毎回スキンシップが激しい。」
背後から方に腕を回してくる清光は何故か機嫌がいい。
「ねえ主?」
「ん?」
「今の俺、可愛い?」
いつ頃からか、急に思い出したかのように清光は私に可愛いかと聞くことが多くなった。
「うん。今だけじゃなくて、ずっと可愛いよ。」
そう言いながら、私は清光の腕を撫でる。
清光が何を考えているのか、まだ分からないことも多いけど…それでも、これが彼なりの愛情表現なのだろうということは最近分かってきた。