第1章 審神者として
過去に飛ばされて、数か月が経つ。
さすがに最初は生活様式に違いがありすぎて戸惑ったが、今では着付けもなんとかできるようになった。
「主!ちょっといいー?」
さっき別れたばかりの清光が、部屋の前に立っていた。
「いいよ。どうかした?」
中から声をかけると障子をあけて清光が入ってくる。
清光は、私が過去に来て1番最初に出会った刀剣男士だった。
「んー、ここがちょっと傷付いててさー?」
「いつのこれ。」
「多分、朝行った資材集めかなー?」
別に、私が清光を選んだわけでも無ければ、清光が私を選んだ訳でも無かった。
この場所で顔合わせをしたのがお互い初めてで、清光はいつの間にかここにいたと言っていた。
きっと、私がいた未来の人が適当にパートナーとして選んだとかそんなとこだろう。
「やっと手入れも様になってきたね~?」
「うるさい。」
今では割と懐いてくれているが(多分)、初めは凄く静かだった。
「え、お前…だれ?」
そう言って、清光は声も出さずに静かに泣いた。