第2章 出陣の日
「…岩融!!」
「大丈夫か今剣?」
「うん!余裕だった!」
あまり鮮明には聞こえないが、2人はとても仲がいいのだろう。
白いフードみたいなのを被っているせいで岩融の顔は見えないが大きな手で今剣の頭を撫でている。
「あっ!そういえば!」
片手で抱きかかえられた今剣が岩融の耳元で何か話している。
「……!」
今剣がこちらを指さしてきたと同時に、岩融もこちらを振り返る。
一斉に私の周りを取り囲んで臨戦態勢に入る刀剣達とは違い岩融は一礼、今剣はヒラヒラと手を振って木々に飛び移って消えて行ってしまった。
「ずいぶん余裕だな。」
清光の声にホッとしたのも束の間、今度は少し焦るような国広くんの声が響いた。
「来ます!!まだ距離はありますが右から2体、左から4体です!!!」
計6体の敵が左右から向かっていることを知らせる。
「ここじゃ少し分が悪い...!さっき2人がいた木のところまで向かった方が良さそうだね。」
安定の声にみんなが一斉に走る。