第1章 審神者として
僕の話を聞いて欲しい。
そう言った彼の目にはどこか、決意の色が見えた。
「…そっか。」
真剣な顔をしている国広くんの前に座るとすぐに口を開く。
「何も聞かないんですか?」
「なんで?」
「わざわざ手入れが必要だと嘘まで付いたんですよ?」
「そうかもしれないけど…、でも手入れが必要だって国広くんは言ってないでしょ?私が勝手に引っ張ってきたんだし…。」
それに、2人には聞かせたくない話なんだよね?
そう言うと少し肩の力が抜けたのか、国広くんの表情から硬さが抜けた気がした。
「失礼は承知の上でお聞きします。主さんは、あの2人の事をどう思っていますか?」
「え、2人って…清光と安定?」
「はい。」
何かを話してくれるのだと思っていたから、まさか質問されるとは全く考えてもいなかった。
「そうだねー…、清光は私の初期刀でそれこそ最初は愛想の無い子だな~くらいに思っていたけど、今は凄く可愛いかな?」
なんとなく恥ずかしい部分もあり、なんでこんなことを国広くんに話しているのか―……
「まぁ、清光は調子の良い所もありますからね…。なんとなくなのですが、主さんと安定は、清光よりも壁…と言いますか、溝がある気がするのですが…」
少しだけ言いにくそうに話す国広くんを見てると思わず笑ってしまう。
本当はこっちが聞きたかったのだろう。
「国広くんはさ、私よりずっと前から2人の事を知っているんだよね?」