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あなたの好きをまだ知らない。

第2章 陽炎



明くる朝、今日は球技の部で、俺はサッカー、美寿子はバスケに出る。
二人とも経験者だから、それなりに貢献できるだろう。
と、俺は踏んでいる。

「しかし、また柊君がいるなら、優勝は間違いないかもね!」
「丸山、あんまり俺を買い被るなよ。俺一応帰宅部だからな?」

「大丈夫だよ。俺は信じてるぜ。」

無駄に爽やかだな…
今回の球技部はトーナメントになっている。

午前中が男子、午後が女子と、俺たちは4時間の中ですべてのスケジュールを終わらせなくてはいけないのだ。

「まぁ、精一杯やるさ。」

「そう言ってもらえて、安心したよ。」

そして、試合開始のホイッスルが鳴った。

.......

3時間後


「はぁ…はぁ…これで、次は決勝か?」

「あぁ、そうだね。案外疲れるもんだね。」

丸山と俺は5試合ともフル出場だった。
幸い、20分ハーフの試合だから助かっているものの、すっかり疲弊しきっていた。

「冴杜、お疲れ。」

「…美寿子。どうした?タオルなんか持って。」

「つ、使っていいよ?汗、気持ち悪いでしょ?」

「あ、あぁ…悪いな。」

「ううん。頑張ってね、応援してるから!!」

美寿子は走って行ってしまった。

「やっぱり、付き合ってんじゃん。」

「違ぇって!!…でも、あいつは…」

『信じたい。』

昨日の美寿子を思い出しながら、立ち上がった。

「さて、後一試合やったら、俺はもう何もしないからな?」

「あぁ、ここ決めて優勝するぞ!!」

俺も丸山も気合いが入っていて、グラウンドへと歩みを進めた。

だが、俺はフラッシュバックが起きていた。
グラウンド。
11人。
忘れられないあの記憶。

それを引きずりながら走るには、重すぎる。


序盤は俺のせいで押され気味だった。
中盤の俺からボールが出なければ、押し返されるのは当たり前だ。
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