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あなたの好きをまだ知らない。

第2章 陽炎


その日の放課後、
俺は最近は帰る方向も同じ故
美寿子と帰っていた。

「なぁ、美寿子、400mリレー出るなんて聞いてないぞ。」

「だって、言ってないもの。」
「はぁ…気付けろよ?」

自分が走ったことがあるから辛い事は十分に分かっている。
それ故に心配になった。

「大丈夫だって。明日頑張ろうね。」

あぁ

なぜ心配になったのか分からない。
ただ、それが別の感情と知ったのはまだ先の話だ。


翌朝、

「さぁぁ!!
今日は待ちに待った体育祭です!!皆さんクラスで練習してきた力を存分に発揮して、ベストを尽くしましょう!!」

そうして体育委員長の宣言が終わり、最初の競技が始まった。
「冴杜、始まったね。」

「あぁ、ホントに大丈夫なのか?」

「もう、心配性だな冴杜は。
バスケ部部長だったんだし、心配ないよ。」

俺達の競技は昼前始まる。

.......

「さぁ!!やって参りました!!
体育祭一の見物、400mリレーだぁぁ!!」

そして俺は戦場と呼ばれるグラウンドに立っていた。
それともう一つ疑問なのが
俺は何故か男子のアンカーになっていた。

「なぁ、丸山、俺がアンカーで大丈夫なのか?」

「あぁ、大丈夫だよ。
1500m持久走を4分台で走るんだから、心置きなく任せられるよ。」

美寿子は女子だから反対側にいる。
ふと、目が合うと笑って小さく手を振った。

「気になったんだけどさ、皐月さんと柊って付き合ってんの?」

「は?いや、そんな仲じゃ…」

そう、ただのお互いを理解できる友人だと思っていた。

「でも、皐月さんは柊の事好きだと思うけどな。」


ズキンッ


少し心が痛くなった。
古傷を抉られるとはこの事だ。
そうこうしているうちに、第1走の丸山は走り出していた。

リレーの区は女子を除くと第6走、混ぜると第12走まである。だからチームワークが必要不可欠なのだ。

第4走。
今3位。
抜きつ抜かれつの攻防戦が繰り広げられていた。

「ひいら…ぎ…頑張って…くれよ?」

「あぁ、お前達が繋いだ気持ち、必ず一番になって帰ってきてやる。」

そして美寿子がバトンを持って来るのが分かった。

「冴杜!!任せた!!」

「おう!!」

久しぶりに走る。
そう決めたのだから、最後までやり抜く。
走り出しは3位、だが直ぐに前の奴を抜き、1位の後ろに着いた。
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