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あなたの好きをまだ知らない。

第2章 陽炎



6月、いつの間にか暑い夏の季節を予感させる大気に俺はしみじみと感じていた。

4月のあの日から俺と美寿子は大分仲が良くなり、普段もたまに話したりしている。

「えーそれじゃあ、明日の体育祭についてもう一度説明するぞ!!」

6月は初めてのクラス行事で有名だが、うちの高校はお聞きの通り体育祭である。

「それじゃあ、丸山、説明頼むぞ。」

淡化を切っておきながら全てを生徒に委任したよ(笑)
因みに、丸山一弥はクラスの中でも一番ぐらいに運動が出来る。
いわゆるスポーツ優等生だ。

「えーと、皆も知っての通りだけど、明日から体育祭です。」
また長い説明が始まると思い、ケータイを見るとメッセージが来ていた。

【皐月美寿子】

「何だ…?」

《冴杜はなにかしらの競技出るの?》

《一応400mリレーと球技の部はサッカーだ。
お前は何に出るんだ?》

《私は400mリレーとバスケに出るよ!》

…は?
美寿子が400mリレーに出ると聞いたのは初耳だった。

《お前、大丈夫なのか?
キツいぞ?》

《大丈夫だよ。これでも元バスケ部部長だから。》

心配してるのはリレーの方だよ。
まぁ、美寿子はやり通す人間なのは知っているから、心配はない…と言えば嘘になるが。

「じゃあ、優勝を目指して、頑張ろう!!」

教室が震える程の掛け声に俺は少し驚いてしまった。

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