第6章 輝海
翌朝、生憎の雨で2日目は商店街を練り歩く事になった。
しかし、さすが海沿いの町だけあって魚介類が多く、どれも美味しそうだった。
「美乃里ちゃん、結局昨日は良かったんですか?」
「えぇっ!?…う、うん…」
「へぇ~一弥なかなかやるじゃん。」
「お、俺だってやるときはやるんだよ。」
「じゃあ別行動にしよっか?」
「えっ!!まだはや…」
「よし、けってーい。」
冴杜がそう言うと私達は商店街を駆け抜けた。
「…手、繋ごっか…美乃里。」
「うん、一弥。」
.......
「あいつら、大丈夫か?」
「大丈夫よ、すっごいラブラブじゃない。」
私達は走ってたどり着いた土産物の中を見ていた。
ふと、ストラップ売り場にお揃いの貝殻を模したキーホルダーがあった。
「あ、お揃いのキーホルダー…」
途中まで言って思い出した。
「冴杜…ごめん…」
「大丈夫だよ。これ買おうか。」
冴杜が2つ取ってレジへ持っていった。
「冴杜、別に良いよ。」
「いや、俺が欲しいから、お前にも1つやる。」
値札がとられたそれを渡してきた。
「…ありがと…」
「つけてみろって。」
ケータイの穴に通して紐を結ぶ。
シャラン…
と綺麗な鈴の音がした。
「かわいい…」
「もう前の俺の事なんて気にすんなよ、今は美寿子しか見えてねぇんだから。」
「ありがと…大好きだよ。」
「俺もだ。」
二人で手を繋ぎながら傘に入る。
次第に雨は弱くなって、日が差してきた。
.......
「美寿子ちゃん!」
「あ、美乃里ちゃん、どうだった?二人きりは。」
「一弥の表情からするに、キスぐらいしたんじゃないか?」
「なっ!冴杜…」
「美乃里ちゃん、ホントに?」
「ま、まぁ…」
「み、美乃里…」
「おー名前で呼んでるよ。」
冴杜のからかいを切り上げさせ、私達は帰りの電車に乗り込んだ。
「ねぇ、冴杜見てよ。」
小声で冴杜に美乃里ちゃん達の席を指差した。
美乃里ちゃんは丸山くんの肩にもたれて眠っていた。
「2人共、良かったな。」
「…ねぇ、冴杜?」
「あぁ、良いぜ?」
冴杜は何も言わないで肩を貸してくれた。
そのまま、私は眠りの底へと沈んでいった。