第1章 一周年!そしてーー
こんのすけ型に作られた和菓子に、雪ウサギ型の和菓子。こんのすけは愛染が雪ウサギは蛍丸が持っていた。
乱と”大倶利伽羅”もそれぞれ大きなお皿を持って登場した。乱は大量のチョコ菓子が盛られたお皿。倶利伽羅は市販で売られている物よりも大きなホールの苺のケーキを持って来た。
「”誕生日おめでとう”?えっ…!」
「二月十四日ーー主の誕生日でしょ?」
慎重に綺麗に作られた甘い料理をウチの目の前に置いていく。最後に倶利伽羅の持っているケーキには、よくついているチョコプレートに”おめでとう”とチョコペンで器用に書かれていた。
さらには蝋燭まで立てられている。ご親切にどうも…。
まさか、覚えて貰っていたなんて…。前の自分の時はあったのか記憶があやふやなのに。
「…おい。」
「あるじさん?」
何だろう…嬉しい!嬉しすぎて涙が出てきた。もう、視界がぼやけてるよ~!
只、黙って涙を流しているウチを見て、皆が心配してくれる。若干一名を除いて。
「…嬉しいだけでしょ。それで泣くなんて、本当に泣き虫だよね。」
いつもの加州の嫌味が炸裂するが、顔は優しい笑顔を浮かばせていた。
「そうだけど!まさかこの宴はその為?」
「今頃!?」
肯定の声が大広間を埋めて、さらにウチの涙腺を壊しにかかってくる。いい意味で。
「忘れる訳ないじゃん。こんなに分かりやすいのと何回もやっているんだから。」
「因みにね、コレを計画したの清光なんだ。」
「なっ!?国広!!」
加州の隣に座っていた”堀川国広”君が笑顔で言うと、顔を真っ赤にして堀川君に凄い顔で睨んでいた。堀川君自身はそれを特に気にしないでいた。流石です。
堀川君の向かい、大和君の隣にいた”和泉守兼定”さんは顔が赤い事を突っ込むと、加州に大量のワサビを入れられていた。
「後、もう一つも祝いも兼ねておるのだ。」
優雅な動作で微笑みを浮かべる天下五剣一美刃の”三日月宗近”さんが告げた。
涙声かつ鼻声で三日月さんに聞くとにっこりと笑って教えてくれた。
「”審神者就任”。とっくの昔から審神者として主は”主”でいたが、どの時でもどの主にもそれを祝う事は出来なかった。。感謝の言付けも出来なかった。」
だから一緒に祝おうと。ウチの元に来て、優しく頭を撫でる。その手が凄く暖かくて、さらに涙を誘った。