第1章 一周年!そしてーー
「いや、僕がやるよ。」
分かんないけど、どこからかウチの目が隠れる程の幅の黒い紐を出してきた。それは何だ!?何なんだ?
「ぴよ丸は彼女を抱えて連れてきて。」
「膝丸だ、兄者。承知した。」
いつもの様に弟の名前を間違えていますよ!髭切さん。膝丸さんに何か指示を出すと、ウチに近づいてくる。
「え、何?何ですか髭切さん…!その紐は!?」
「今代の主である君に手荒な事はしないよ。只ねーー、」
大人しく僕達に運ばれて。にっこりと見せた笑顔が凄く怖い!それを最後にウチの視界が真っ暗になる。
別に鳩尾ら辺が痛いとか、首が痛いとかはない。多分、髭切さんが手に持っていた黒い紐を目に付けられているんだ。微かに紐を結ぶ音が耳元でする。
「ちょっ!?目、目が!!」
「じゃあ、宜しくね。早くしないと皆が待ってる。」
髭切さんのこの台詞を合図に、体が宙に浮く感じがした。それから何かがおなかに当たって、頭が下に向くのが視界を塞がれても分かった。
「それじゃあ、可哀想じゃない?」
「大丈夫だ。別に傷つけはしない。」
「うーん…そういう事じゃないんだけどな~。」
まあいいかと言う声と同時に、足音が聞こえる。ウチの体もゆらゆら揺らされる。
「二振り共!!何なんだよおおおおお!!」
ウチのこの叫びを最後に自分の部屋を後にした。
🌸🌸🌸
揺らされて数分ーー、揺れが終わったと思ったら、視界が急に明るくなった。でも、体は宙に浮かんだままだけど。
「まぶしい…。」
目が明るさに慣れていくにつれて、自分がどんな状況なのか次第に理解出来るようになった。
視線を下に向けていれば、足が地面についていないのは解ったのは良いが、コレは…膝丸さんの脹脛?お尻もよく見える。
「マジか…。」
今、膝丸さんに俵抱きされている。そりゃ、腹に圧迫感がある訳だ。
ウチのお尻は端正な膝丸さんの顔の横に御有りになられるのですね…。
「今、降ろす。大人しくしていろ。」
「…はい。」
訳が分かんないまま彼の肩から降ろされて、足が地面にしっかりと着く。ふらっとなるのを二振りが支えてくれる。
「ほら~、頭に血が上ったからめまいが起こったのかもね。」
「すまなかった。次は気を付けよう。」
もう訳分かんな過ぎて、うわの空で頷いているだけだった。