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審神者と刀剣と桜 ~番外編~

第2章 水無月の五日/文月の八日


★★★

 夕食を食べ終え、皆、お風呂に入り終わった頃、加州達のいる新選組刀の部屋では今日あった事を話しあっていた。

「今日は鶴丸さんや鳴狐に、『驚きをもたらそう!』なんて、色々な事をやったよ。」
「例えば?」
「例えば!?…えっとーー、」

 大和守は今日一日、鶴丸国永と鳴狐と行動を共にしていた。和泉守は同じ刀派である歌仙兼定やにっかり青江と行動を共にしていた。
 堀川も、刀派が同じである山姥切国広と山伏国広と山に出かけ、長曾根は兄弟である蜂須賀並びに、浦島虎徹と出掛けた。

「清光はどうだったんだよ?」
「え、」
「今日一日、どんな事した?」

 土方歳三の愛刀である和泉守と堀川が、今日の事について話し掛けてくる。加州は渋々といった感じで、今日あった事話す。
 今剣と前田と買い物をしに行った事、鶯丸と髭切とお茶をした事、また、同田貫に手合わせを挑まれた事。

「有意義に過ごしたんだな。」
「まあ、それなりにね。」

 思い出し笑いなのか、加州の口角が緩やかに上がる。比較的、偵察が高い彼等はそれを見るなり、彼等の口角も自然と上がっていった。

「お前が楽しそうなら、いいか。」
「何だよ、それ。」

 大和守が加州に向けて、自身が使っている枕を投げる。枕を受け取る姿勢でなかった加州はもろに顔面で枕を受け止めた。
 眉をピクピクと動く位、突然の奇襲にムカついたのか、負けじと枕を投げる。
 この枕投げが、いつの間にか五振り全員になるにはそう時間はかからなかった。そして、説教となるのにもだ。
 自称、風紀委員であるへし切長谷部の説教を受けた後、加州は部屋を出て、夜風になんとなく当たっていた。

「気持ちいい……。」

 縁側に座り、先程まで白熱していた枕投げの熱を下げる。六月でもまだ少し肌寒い。
 だが、今の加州には十分だった。それ程、白熱していたのだ。

「あれ?加州。」

 男のそれとは違う、女性の声。この屋敷の中では、思い当たる女というのは彼女しかいない。

「ああ、アンタか。」
「なんだよ。乱じゃないのが、不満か!!」
「乱は男でしょ。付いている物は付いているんだし。」

 男には興味はそんなにないし。主である少女に言うと、なんとも言えない顔を向けられた。
 それに怒りを覚えたのか、加州は彼女の顎の下から両頬を片手で鷲掴みにする。
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