第7章 ~真実編~
思いのほか委員会が早く終わり、
俺は急いで屋上へ足を向けた。
ドアを少しあけると誰かの会話が聞こえてきた。
思わず、手を止めた。
高尾と佳代だった。
何やら強い口調で言い合いをしていた。
「ほら、助けて真ちゃんって叫んでみろよ?」
「…いやだ!」
「は?」
「こんなの和ちゃんじゃないっ!本当の和ちゃんはどこ?和ちゃん!助けに来てよ!和ちゃんっ!!!!」
「…お前は本当にバカだな。んで彼氏の名前じゃなくて襲ってる張本人の名前呼ぶんだよ!?」
「違うもん!和ちゃんじゃない!和ちゃんは昔からずっと優しくて、何度も私を助けてくれて…こんなの和ちゃんじゃないっ!」
「だから…俺はもう昔とはっ!」
「和ちゃんが好き!和ちゃんに会いたいっ!寂しいよぉ…。和ちゃん…」
耳を塞ぎたくなった。
そして頭が真っ白になって
動けなくなった。
ここに居ちゃいけない。
わかってても何故か足が動かなかった。
しばらくするとドアが開いて高尾が飛び出してきた。
高尾が目を見開いてこちらを見た。
あぁ、全てが終わってしまった。
なんともいえない絶望感が俺を襲った。
「あ…真ちゃん」
高尾は顔を真っ青にしていた。
「盗み聞きするつもりはなかったのだよ。」
「…悪かったのだよ。」
そう言って俺は階段を駆け下りて行った。
涙が止まらなかった。
それから高尾と俺はあまり話さなくなり、
佳代は学校を休みがちになった。
すべて、俺が悪い。
どうしようもない後悔が俺を襲い続けた。