第7章 ~真実編~
俺はすぐに駆け寄り、高尾を傘に入れ、
そして持っていたタオルを頭にかけた。
驚いたように高尾は顔をあげた。
そして、なんだかバツの悪そうな顔をした。
「こんな雨の中こんな所で何しているのだよ。風邪引くぞ。高尾」
「真ちゃんこそ…何やってんだよ。」
「今学校が終わって帰っていた所なのだよ。偶然公園で傘もささずに座っている奴が居たので見に行ったらお前だったのだよ。」
「ははは…すっげぇ偶然だな。」
そう言って高尾はうつむいて力なく笑った。
「…佳代と何かあったのか?」
俺がそういうと高尾はビクっと体をこわばらせた。
「…どうだろうな。」
高尾はそう呟いた。
なんとなく察しがついた。
同時に自分の酷な行いに
罪悪感で押しつぶされそうになった。
「そうか…。ほら、さっさと帰るのだよ。風邪を引くのだよ。」
俺はもう何も聞きたくなかった。
だから、そのまま高尾をひっぱり起こした。
「何も聞かないのか?」
高尾は驚いた表情でこちらを見つめていた。
「本人が聞かれたくない事をわざわざ聞くつもりはないのだよ。」
俺は強がってそういった。
でも、怖くてたまらなかった。
どうしようもない気持ちでいっぱいになった。
高尾を
傷つけてしまった。
高尾を傘に入れ引っ張り歩いていると
高尾は後ろで泣いているようだった。
罪悪感から
何も
彼に話しかけることすらできなかった。