第7章 ~真実編~
試合が終わり、俺はすぐにベティちゃんを探しに行った。
自動販売機のある広場辺りに転がっていったはずなのだが…。
そう思いながら必死で探した。
そんな時ふと男女の痴話喧嘩のようなものが聞こえた。
「おい、佳代、いつまで待ったって来ねぇって!」
「もぉ!じゃぁ、和ちゃん先に帰っていいよ!私この熊さんの持ち主が来るまで待ってる!きっと探してるよ!」
「ばぁか!探してるわけねぇだろ?そんな熊!」
「こんな可愛い熊さん探さないわけないじゃん!」
"熊"そのキーワードが耳に入った。
「あの、その熊!見せてもらえませんか?」
俺は思わず話しかけた。
二人は少し意外そうな顔をしたが
女の子が俺にベティちゃんを差し出した。
「!!!ベティちゃん!」
俺は歓喜の声を上げた。
女の方がそんな俺を見てくすくすっと笑った。
そしてこう聞いてきた。
「その熊さん可愛いですね。どこに売ってあるんですか?」
「ん…忘れてしまったのだよ。見つけてくれてありがとう。」
俺は彼女に頭を下げた。
「いえ、試合がんばってくださいね。」
そう言って彼女はふわっと笑った。
その笑顔がなんだか忘れられなかった。
それから彼女とその連れの男は去って行った。
これが俺と佳代と高尾の最初の出会いだった気がする。