第6章 下~僕編~
体育館につくと、
真ちゃんはひたすらシュートを打っていた。
周りにはボールが散乱していた。
「おいおい、こんなボール散らかしたら片付けるの大変っしょ」
「うるさいのだよ。こんなのすぐ片付くのだよ。」
「はいはい」
俺は苦笑いしながらボールを拾って片付け始めた。
真ちゃんは気にせずゴールを打ち続けていた。
「高尾。」
「ん?」
「佳代と別れたのだよ」
「…え?」
「すまなかったのだよ。」
ふと真ちゃんが謝った。
わけがわからなかった。
「いや、なんで真ちゃんが謝るんだよ!?悪かったのは俺で…」
「気づいていたのだよ。お前が佳代の事好きって」
「…!!」
「気づいていて、俺は佳代と付き合い続けたのだよ。」
「でも、俺の気持ちなんてお前らには関係ねぇだろ?」
「…違うのだよ。」
「は?」
「俺はお前の事も佳代の事も大切なのだよ。だから…お前らに幸せになってほしいのだよ。邪魔者は俺だったのだよ」
「…真ちゃん…?」
「前のように楽しくお前と話したいのだよ。俺は不器用で素直でもない。理解してほしいのだよ。」
そう言って真ちゃんは静かに笑った。