第5章 中~僕編~
「…ったく、こりねぇバカ女だなぁ」
あの感情が抑え切れなくて
止まらなかった。
「え?」
「あの時の続きしてほしいのか?あ?」
みるみる佳代が涙目になるのが分かる。
「…っちが」
「お望みどうりしてやろうか?真ちゃんとも大分いいとこまで行ってるみたいだしよぉ?」
「え?」
「学校でやるなんてお盛んだねぇ、君ら。真ちゃん、立派なキスマークつけて来て笑っちまったぜ」
「…。」
そういって俺は佳代を壁に押し付けた。
「ほら、助けて真ちゃんって叫んでみろよ?」
そう言って俺は佳代の制服のボタンに手をかけた。
「…いやだ!」
佳代はそう言って強く俺を睨みつけた。
「は?」
「こんなの和ちゃんじゃないっ!本当の和ちゃんはどこ?和ちゃん!助けに来てよ!和ちゃんっ!!!!」
佳代はそう言って泣き出した。
わけが分からなかった。
何で真ちゃんじゃなくて俺を呼ぶのか、
怖すぎて間違えて呼んでいるのか?
「…お前は本当にバカだな。んで彼氏の名前じゃなくて襲ってる張本人の名前呼ぶんだよ!?」
「違うもん!和ちゃんじゃない!和ちゃんは昔からずっと優しくて、何度も私を助けてくれて…こんなの和ちゃんじゃないっ!」
「だから…俺はもう昔とはっ!」
和ちゃんと呼ばれるたびに胸がズキズキと痛んだ。
『昔』という言葉が突き刺さった。
俺だって何度も時間が戻れば…そう思った。
でも…