第5章 中~僕編~
IH(インターハイ)やWC(ウィンターカップ)の予選で
一気に忙しくなった夏から秋。
俺ははすっかり部活に打ち込んでいた。
真ちゃんは今も佳代と上手く行っているようだった。
もうすっかり佳代の話も聞かなくなった。
少しだけど佳代のことを考えない時間が増えた。
でも、ふと家に帰って昔のアルバムを見て
懐かしくなってしまう。
あぁ、あの時あんな話ししたな。
あんな約束したな。
佳代は覚えているんだろうか。
我ながら未練たらしくて嫌になった。
そうして自己嫌悪に陥るのがパターン化していた。
そんなある日の休み時間。
「高尾、ちょっと委員会に行ってくるのだよ」
「うぃーっす。がんばってねぇー」
俺は真ちゃんを送り出した。
相変わらず真面目だなぁ、そんな風に思っていると
教室に佳代がやって来た。
どうやら真ちゃんを探してるようだった。
いつものように気づかないふりをしていようと思ったが、
ふとクラスの奴の会話が耳に入った。
「あ、おいおい!あの子可愛いよねぇ!」
「あぁ、緑間の彼女だろ?」
「え!?まじで!?超ショック!狙ってたのに!」
「でも、緑間って超堅物じゃん?上手く行けば寝取れるんじゃね?」
「あ!確かに!何か困ってるみたいだし、きっかけ作りにちょっと話しかけにいってこようかなぁー♪」
その会話についムカっとなってしまい
俺は席を立った。