第4章 上~僕編~
そんなある日の昼休み。
俺は教室で外を眺めていた。
そこに真ちゃんがすごい勢いで走ってきた。
「おう、真ちゃん!どうした!?そんな息切らして!」
「こここここ、告白してしまったのだよ!!!」
「…は?」
「坂梨に告白してしまったのだよ!」
"ズキッ"
また小さく胸が痛んだ。
でも以前よりずっと小さくなっていた。
「おぉ!で?結果は?」
「…ありがとう。私も好きだよ!と言われたのだよ!」
真ちゃんはうつむきながら言った。
が、その顔は恐らく笑っていた。
「やったじゃん!おめでとぉ!真ちゃん!で?」
「ん?それだけなのだよ!嬉しくて高尾に報告しに来たのだよ!」
「ん?あぁ、そうか!え?付き合いはじめたんだよね?」
「そんなことは言ってないのだよ!」
頭の中が『はてな』でいっぱいになった。
真ちゃんは頭がいいが…少し天然なのだろうか。
「いや、告白したら普通付き合うだろ?」
「…そうだったのだよ!」
真ちゃんはなんだか『ガーン』という効果音が似合いそうな顔をして落ち込んでいた。
「ばぁか!今すぐ戻って言って来い!」
俺は真ちゃんの背中を軽く叩いた。
「う、うむ。わ、わかったのだよ。」
が、しかし
"キーンコーンカーンコーン"
予鈴が鳴った。
「…また、今度にするのだよ。」
そう言って真ちゃんは席に着いた。
「…ぶはっ!」
俺は思わず笑ってしまった。
「なっ!笑うな!高尾!」
こんなじゃれ合ってる時間がなんだかすごく楽しかった。
いつか佳代の事も忘れられる。
そんな風に思っていた。