第3章 下~君編~
そうしてたどり着いたのは学校の体育館だった。
真太郎はおもむろにバスケットボールを取るとシュートをうち始めた。
「真太郎?」
「本当はもっと前から言わなければならないと思っていたのだよ。」
「うん…?」
「もう、終わりにしよう。」
「…え?」
バスケットボールを床につくドリブルの音が鳴り響く。
「最初からわかっていたのだよ。」
そう話しながら真太郎はゴールに向かってボールを投げ続ける。
「お前は俺じゃなく、いつも高尾を見ていたのだよ。」
「…。」
「でも、人間は不思議なもので時としてわかっていてもそれが出来ない時があるのだよ。」
ふと真太郎の動きが止まった。
「俺はお前が好きだ。そして高尾の事も好きなのだよ。二人の幸せを願わなければいけないのだよ。」
「迷惑かけてすまなかった…別れよう。」
「しんた…」
私は真太郎に近づこうとした。
「近づくなっ!!!!」
真太郎は声を荒げた。
「もう、ほっといてほしいのだよ。」
真太郎の声は震えていた。
私は、体育館の出口へ向かった。