第2章 中~君編~
それからまた数日がたったある日の昼休み。
私はいつものように屋上で真太郎を待っていた。
"ガチャ"
ドアが開いた。
でも、そこに来たのは真太郎じゃなかった。
「よう。」
「…高尾くん。」
「真ちゃんなら、今日来ないぜ。急に委員会入ったとかで生徒会室にいる。じゃ!ちゃんと俺は伝えたからな。」
そういうと和ちゃんは再び私に背を向けた。
「あ…和ちゃんっ!」
「あ?なんだよ?」
「あの…少し話さない…かなって…。」
思わず昔のように呼んでしまった。
呼び止めないとそのままどこかへ行ってしまって
今伝えなきゃ、もう会えないような気がして。
「…ったく、こりねぇバカ女だなぁ」
「え?」
「あの時の続きしてほしいのか?あ?」
「…っちが」
「お望みどうりしてやろうか?真ちゃんとも大分いいとこまで行ってるみたいだしよぉ?」
「え?」
「学校でやるなんてお盛んだねぇ、君ら。真ちゃん、立派なキスマークつけて来て笑っちまったぜ」
「…。」
そういって和ちゃんは私を壁に押し付けた。
「ほら、助けて真ちゃんって叫んでみろよ?」
そう言って和ちゃんは私の制服のボタンに手をかけた。
「…いやだ!」
「は?」
和ちゃんはポカーンと驚いた顔をした。
「こんなの和ちゃんじゃないっ!本当の和ちゃんはどこ?和ちゃん!助けに来てよ!和ちゃんっ!!!!」
私は泣きながら和ちゃんの名前を呼んだ。
「…お前は本当にバカだな。んで彼氏の名前じゃなくて襲ってる張本人の名前呼ぶんだよ!?」
「違うもん!和ちゃんじゃない!和ちゃんは昔からずっと優しくて、何度も私を助けてくれて…こんなの和ちゃんじゃないっ!」
「だから…俺はもう昔とはっ!」
「和ちゃんが好き!和ちゃんに会いたいっ!寂しいよぉ…。和ちゃん…」
私は泣き崩れた。
でも、心がすーっと軽くなった。