第2章 中~君編~
それから何ヶ月も過ぎて
もう残暑の残る秋になった。
未だに私は真太郎の部屋に行っていない。
デートのたびにキスはするがそれ以上までは進まない。
そもそも部活が忙しいようで
あまり以前より会えなくなっていた。
そんなある日、私は真太郎に借りていた本を返すために真太郎の教室へ向かった。
が、真太郎はいないようだった。
私は後で来ようと再び廊下の方を向いた。
「佳代?」
懐かしい声が後ろから話しかけてきた。
私は急いで振り向いた。
何ヶ月ぶりに聞いた声だろう。
そこには和ちゃんが居た。
「あ…かずちゃ…高尾くん。」
私は思わず言いなおしてしまった。
それからすぐに和ちゃんから目を逸らした。
「んだよぉー!よそよそしぃなぁ!あ!真ちゃん?真ちゃん今委員会でいないんだわぁ!用事なら伝えようか?」
和ちゃんは昔のようにヘラっと笑いいつもの調子で話しかけてくれた。
「あれ?違った?あ!もしかして俺に用事とかぁ?」
黙り込む私に和ちゃんは冗談っぽく笑いながら聞いてきた。
「あの…これっ…真太郎に!」
それだけ言って本を押し渡して、私は走ってその場を去った。