第4章 みっつめ『楽しそうに歌う所』(前編)
私はマイクを3本用意し、1本は手で持つ事のできないシロの為に低い子供用スタンドを用意した。
配役は適当だったが、自然とシロがセンターを張る。
~♪
「「「Yes! チャイニーズ エンジェール!!」」」
「いつでもお気軽に」
「「好(ハオ) チャイニーズ エンジェル!
加油!加油!(チャーヨー!チャーヨー!)」」
どこまでもまいりますネコじゃらし
「本気じゃん
胸の奥は」
「素敵じゃん
あきらめない」
「大好きな家族のため
冷たくないよこの街は
平和な世界は
今すぐ」「「「そこ」」」
「すてきなカタカナで
チャイニーズは通じません
なにも怖くは」「「「ないないない」」」
「這是真的? (チョーシーチェンダマ?)」
「「それは、ホンモノですか?」」
「「LOVE! まとめ買い!!」」
「大好きな家族のため
強く生きなきゃ寂しくても
なにも怖くは」「「「ないないない」」」
~♪
2人と1匹は何故か全員が意図せずに振り付けや癖等もほぼ完コピ状態で全力歌唱した為、知っている者はスタンドアップでハモり、知らぬ者はそのパフォーマンスに歓喜声援を贈った。
その中に鬼灯もいつの間にか参加しており、スマホを掲げてこの獄卒チャイニーズエンジェル達をHDで撮影している。
唐瓜は焼き魚を口に運び、鬼灯の運動会のお父さんのような熱い行動を微妙な表情で見ていたが、大王と茄子に向かって話し出した。
「鬼灯様も観てるんですかね~。チャイニーズエンジェル」
「いやどうだろう。あの子、嫁馬鹿な所があるからなあ」
「俺、ネムさんがシロと一緒に大声でキャラメル天国歌いながら歩いてるの見た事ありますよ」
「あ、俺も俺もっ」
茄子が舐り箸をしながら頷いた。
大王は同じ記憶があったので記憶を手繰り寄せ、手を組んだ。