第2章 ひとつめ『嘘が下手な所』
「だってつまらないんだもん」
「え~、絶対満足させるって」
私はその手に引っ張られて寝台の上に座った白澤の膝の間にポスンと座り込んでしまった。
身長差があるので、サイズ感としては丁度良いのだけれど…。
「うーん」
「それに、こんな素敵な身体なのに勿体無いよお」
話しながら襟元と帯を緩め、触れやすくなった私の胸を下から掬い上げるように掴み、その重さを堪能される。
極端な大きさではないので『勿体無い』なんてお世辞の1つなんだろう。
抵抗が弱く居たので受け入れているかそういう演出だと思われているのかもしれない。
けれど多少触れられるのは地獄の刑場ではあることなので気にならないだけなのだ。
「そうかな」
「うんうん、そうだよお」
― たゆんたゆん もみもみ ふにふに
「でもなあ」
「脱いじゃえばどうでも良くなってくるって」
私の中で苛立ちのカウントダウンが始まった辺りで、店先に客が来て桃太郎と話をしていた。
2人は神獣の姿で帰ってきた白澤と連れ帰ってきた女についての話をした。
「だからもう少しだけ待ってください」
「白澤さんが? ……わかりました、ちょっとお邪魔しますよ」
「え、ちょっと」
訪問者の男は桃太郎の声を無視し、真っ直ぐにこの部屋の前へと着くと思い切り扉を蹴り開けて登場した。
私と私の乳を揉む白澤の正面にその男の姿が見える。
「おい、この淫獣! 仕事サボって何やってんだ」
「うわ! なに!? おまっ、女の子も居るんだぞ!!」
見えそうな乳を今まで揉んでいた手でぐいと寄せ上げて、白澤の手ブラが完成する。
そんな事など無視して、片手を乱暴なその客に伸ばして私は笑顔で名前を呼んだ。