第2章 会いたかった
「はぁ、はぁ …………っ、あった!!」
一人の少年が走る。
汗をかいてるのが離れていても分かる程に。
目的としていた妖精の尻尾の建物が目に入ると、今までの疲れなんて吹っ飛んだように、今まで以上に足を速く動かした。
一方、ギルド内にて。
「セイバートゥース?」
「剣咬の虎、セイバートゥースさ
それが天馬やラミアを差し置いて現在フィオーレ最強の魔導士ギルドさ」
「聞いた事もねえな」
丸テーブルを囲い、ナツたちはロメオからあるギルドについての話を聞いていた。
「7年前はそんなに目立ってなかったんだ」
アルザックの言葉に皆納得する。
天狼組は7年という間に実感がなく、この間のことが1週間程前に感じるが、空白のその7年間になにがあっても、なにが起こってもおかしくはない。
実際、ジェラールは脱獄(本人にその気はなかったらしいが)したし、ルーシィも父親を亡くした。ナツとハッピーの貯金箱がなくなる、ということもあった。
「ああああ…ごめんなさい」
ウェンディが自分らのギルドの立ち位置を聞いてしまって落ち込んだときだった。
ガシャンッ
「きゃっ、」
ルーシィの後ろに金髪の少年が抱き付き、そばにあったコップが倒れた。
「え?」
彼女と同じ金髪に、皆目を丸くして唖然とする。
「ちょ…え、何?」
後ろから抱き付かれているため、当の本人は事態をあまり把握できてはいないが、ギルド内にいる全員の視線が自分に集まっているということは分かった。
「…………い……かった、」
「?」
「会いたかった、……ルー姉、 久しぶり」