第2章 会いたかった
「もしかして……ケリーなの!?」
ルーシィが言ったその名前に、金髪の少年―ケリーは頭を縦にぶんぶんと振った。
「や、やっと会えたぁ……グスッ……、7年、前に天狼島ってとこに行ったっきりだ、って母さんに聞いて……ヒグッ…、でも俺小さかったし……探しに行きたいって言っても、父さん、に止められたし……ウェッ……」
顔中を涙まみれに、さらに嗚咽交じりにそう言って。
「会いたかったけど……、一生会えないかも、とか、思っちゃって…………でも、ちょっと前、妖精の尻尾の天狼組が、帰ってきたって、聞いて……」
ルーシィはケリーの泣き顔を見て、自分は多くの人を心配させてしまっていたんだ、と改めて思った。
おかえり
小さいけど、ルーシィはその言葉を確かに聞き取った。
そして、心のなかの、「ごめん」という言葉や、後悔、ちょっとした不安を打ち消してただ一言だけ、返す。
「ただいま、ケリー。待っててくれてありがとう」
小さい頃から変わらない、自分以上に泣き虫な彼を抱き締めたと同時に、少し自分の目が潤んだ気がした。
「うわぁ……、入りずれぇ」
「雰囲気ぶち壊しだ、バカ」
ギルドの入り口に、未だ入れずにいる二人がいた。