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イケメン戦国◇甘い囁き◇R18

第11章 月のゆりかご/上杉謙信(謙信side)


俺には忘れられない女が1人だけいた。

否、もう忘れたのかも知れない
顔も声も思いだせぬ。


想いが通じ合っていたと思っていたのは、俺だけだったのだろうか?

ある日、突然
女は俺の元を去っていった。

理由は、未だにわからん。


生きているのか、死んでいるのか__

ただ、俺の前から去る前に
「私では貴方の心を溶かす事は出来ない。貴方の傍にいたら私は壊れてしまう」

そう嘆いていたのだけは、覚えている。


あの女が何を思い悩んでいたのか
俺には理解出来ない




ただ突然、人はいなくなる__

いなくなって、寂しくなるのであれば
愛さない方が良い


愛さなければ失う哀しみも味わう事もない



なのに、何故?
俺は、愛香に触れてしまっているのだ?

何故、退屈だからといって愛香を俺の元へと呼んだのだ?


あの笑顔が見たいと思ったのだろう……


じりじりと胸の奥に痛みがはしる。





「笑って……」

頬に添えた手に愛香の手が重ねられた途端に、ふと蘇る感覚

温かいぬくもり



何故こんなにも胸が高鳴るのだ?
久しく味わった事のない感覚だ



「ふっ……」


自然に頬が緩んでしまうな

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