第10章 月の揺りかご/上杉謙信(夢主side)
言い争い(といっても幸が一方的に文句を言ってるみたい)をしている2人を視界に入れつつ佐助くんに詳しく説明を受けた。
それによると突然、私に逢いたくなった謙信様が「愛香を攫ってこい」
と、家臣に命じたらしく
たまたま市場に出掛けていた私を無理やり
春日城まで連れてきたらしい
それを知った信玄様が、信長様に文を送り
幸と交換で私の春日城滞在を許可してくれたらしく……
まさかと思うんだけど
信長様って……
「幸のコトを?(好き?)」
「ソレには触れないでやってほしい」
苦笑いをする佐助くんの顔を見て__
うん、そうだね。
知らない方が幸せな時もあるよね
と納得してしまった。
「幸、そろそろ出立しないと……」
「おっ……おうっ……」
「えっと……頑張ってね?」
「……任せろ」
複雑な笑みを浮かべ頭をくしゃりと撫でると
幸と佐助くんは出ていってしまった。
それにしても謙信様
何故、私に逢いたいと思ったのかしら?
信長様の側室と勘違いをされて、この春日城に監禁されたのが初めての出会い
でも、謙信様は敵将
信長様の庇護の元にいる私とは相容れぬ関係
だから深入りしないように心がけていたんだけど……
安土城に戻ってからも気付けば謙信様の事を考えて日々を過ごしていた私