第1章 嵐の夜のおあずけ/伊達政宗(夢主side)
どうしようもない恐怖感が私の心にのしかかってくる。
「政宗っ……会いたいよ」
政宗がどこにいるのか分からないから
闇雲に廊下を歩きまわってしまう。
雷の音を聞くたびに
『お前の居場所は此処じゃない。
元の場所に帰れ』
そう言われているようで涙が溢れてきて
「政宗っ……どこにいるの?」
会いたいよ
会って抱きしめてよ
不安で不安でたまらない
政宗と離れたくないよ
政宗のいない世界なんて私には考えられないんだから
「ふっ……ぐすっ」
不安で寂しくて涙がとまらない。
「愛香?」
「っ……政宗っ!!」
不意に現れた政宗の胸に飛び込んでしまう。
厚い胸板に顔を埋めていると政宗の香りがして
それだけで安心。
ほっと安心したせいか
さっきとは違う涙が流れはじめてしまう。
「どうした? こんな夜中に」
「うっ……ひっく……」
「泣いているのか?」
大きな手のひらが私の頭を包み込むように撫でてくれる
「顔をみせろ」
涙でグチャグチャになった酷い顔を見せらんないよ
頭を振って拒否の意思表示をしたんだけど
体を引き離されて、顔を無理やりあげさせられてしまう。
「なんで泣いてるんだ?」
目じりに溜まった涙を舌で舐めとられただけで胸が苦しくなる
政宗が愛おしい
「しょうがねーな」
泣いてなにも言わない私にしびれを切らしたのか
黙って私を抱き上げて歩きだす。
──雷の音はまだ聞こえてくる
「帰りたくないよ」
小声で呟いたのに
「愛香を帰すわけないだろう」
額にキスをおとされる
政宗は私が言わなくても
ちゃんと分かってくれているんだ。