第7章 「さん」付けの代償/徳川家康(夢主side)
「えっと……あ、あのっ! 政宗にっ」
「政宗?」
私の言葉を遮り、眉間にしわを寄せている家康さん。
「ふーん……政宗さんのことは政宗って言うんだ」
「あ……!」
「俺、前に言ったよね?」
「……はい」
「さん付けは止めてって」
つい、家康の事を「家康さん」って言っちゃったんだ。
(さん付けしないように言われたのは、つい最近で……恥ずかしいし、慣れないし。
だから、意識していないとつい「さん」付けしちゃうんだよね)
「別に気にしないけど」
「なーんだ?やきもちか? 見苦しいぞ」
「政宗さんは関係ないでしょ
……妬いてないし」
「ほう?」
そっぽをむく家康の顔を覗き込む政宗
家康は一瞬だけ私の顔を見ると
「政宗さんと仲良くしてれば」
冷たく言い放つと台所を出て行ってしまった。
「ちょっと待って!!」
政宗との事を誤解されたままなんてイヤだよ
慌てて家康を追いかける。
「ったく……素直じゃねーな」