第7章 「さん」付けの代償/徳川家康(夢主side)
「おっ! なかなかいい手付きだな」
「え? 本当?」
「ああ……」
にっこりと微笑み、私を誉めてくれる政宗。
良かった
初めてお団子作りに挑戦する私に、色々と教えてくれる政宗に感謝。
「耳たぶくらいの固さになったか?」
「耳たぶくらい?」
「そうだ__これくらいだ」
「んっ……」
プニプニと私の耳たぶを触る政宗
「なんで私の耳たぶを触るのよっ」
「ん? 確認してるんだよ」
「確認するのは生地でしょ?」
「そうか?__でも、お前の耳たぶを触りたくなったからな」
「んもう! 真面目に教えてよ」
「俺はいつでも真面目だぞ」
真面目な声だけど、目が笑ってるよ
からかわれてるのがすぐに分かる。
「ほら、触って確認してみろよ」
私の手を取り、耳たぶを触らせようとする政宗。
「政宗の耳たぶなんて触りませんよ!」
「なーんだ……じゃあ、どこを触りたいんだ?」
耳元で囁かれて、息がかかってくすぐったい。
くすくすと笑いながら「どこも触りませんっ」と反論すると、声をあげて笑いだす政宗。
本当にもうっ!
私をからかって遊ばないでよ。
一生懸命にお団子を作ってるんだから。
大好きな彼のために
内緒で作って、驚かせたいんだもん。
「2人……仲良しだね」
「家康さん?!」
不意に聞こえてきたのは不機嫌そうな声の家康さん。
「愛香に団子作りを教えてた」
「へえー」
不機嫌そうなのは声だけじゃなかった
顔も不機嫌そのもの。
「ま、俺には関係ないけど……」
「い、家康さんっ!」
「……なに?」
……めちゃくちゃ機嫌が悪いみたい