第51章 ピックアップ御礼作品【月夜に抱かれて】/秀吉
本当に愛香は可愛いな。
拗ねて俺に背中をむけているが、愛香がどんな顔をしてるのかなんて俺にはお見通しだ。
頬を桜色に染めて照れたように笑っているんだろ?
「勝手に私の頭を撫でるのやめろよな」
「俺が撫でたいんだ……気にすんな」
「っ……気にするわ……!」
荒い口調だが心底嫌がっていないだろ?
その証拠に俺の手から逃げようとしない。
素直じゃない愛香が愛おしくて、胸に甘酸っぱい想いが広がっていくみたいだ。
この想いが愛するっていう事なんだな
愛香と出逢って初めて知った気持ち。
俺に愛するという感情を教えてくれた愛香が愛おしくてたまらない。
「愛香……そろそろ顔を見せてくれよ」
背中を向けて横になっている愛香に覆い被さって顔を覗こうとすると
「っ……!」
みぞおちに痛みが走った
愛香の肘がきれいに決まったな。
「みんじゃねーよ!」
相変わらず怒っている口調だが……愛香、耳が赤く染まっているぞ。
本当になんでそんなに可愛いんだよ。
そんなに俺をお前に溺れさせたいのか?
俺はとっくにお前に溺れているんだぜ。
照れているお前に俺はどんどん溺れて、心が熱く焦れるんだ。
この感情が愛おしくて、苦しくて
指が
唇が
体すべてが
愛香───
お前を求めちまうんだ