第49章 ピックアップ御礼作品【月夜に抱かれて】/光秀
女を愛する時、今までの俺は女にただ快楽のみを与えていた。
快楽を与えるだけなら幾らでも与えてやる事が出来るからな。
女の啼きどころを攻めて、攻めぬくだけで事はたりる。
蜜壷から蜜を溢れさせ、狂ったような喘ぎ声をあげさせ、俺自身にも奉仕をさせ理性を解き放ってやればいい。
それが女の愛し方だと俺は思っていた。
愛香を初めて抱いた夜───
『私だけ気持ちよくなるのは嫌です』
『愛香はおかしな事を言うな。今までの女は悦んでいたぞ』
『私だけじゃなくて光秀さんも……』
『俺も?』
『そう──光秀さんも気持ちよくなってほしいんです』
その言葉の意味が肉体への快楽だけじゃない事に気付いた。
愛するとは与えるだけではない。お互いに与え合うものだということに──
「光秀さん……」
「ん?」
「ずっとこうしていたい」
恥ずかしいのか俺の胸に顔を埋め、小さな声で呟くお前が愛おしい。
俺の中で芽生えたこの想いは生涯忘れないであろう
「ああ……俺もこうしてお前を抱いていたいものだな」
「え……?」
「?……どうした?」
不思議そうに俺を見つめてくる愛香。
「光秀さんが……素直なんだけど」
「俺はいつも愛香の前では素直だと言ったはずだが?」
「くすっ……そうですね。たまに意地悪な言い方をしますけど」
「愛おしいからこそ──そう思ってくれ」
「ふふっ……光秀さん」
「なんだ?」
「私も少しだけ……お酒をいただいてもいいですか?」
「好きなだけ吞むといい」
「はい……」
「口移しで吞ませてやろうか?」
「……え……?!」