第46章 ピックアップ御礼作品【月夜に抱かれて】/謙信
片時も離れていたくない。
戦に行った謙信様の帰りを春日山城で1人で待つ事に耐えられないの。
今日は帰ってくる?
明日、それとも明後日?
怪我はしていない?病気になっていない?
謙信様が戦に行くといつも心の中でモヤモヤと心配をしてしまう。
現代だったら携帯電話もスマホもある時代。簡単にやり取りを出来る事に慣れ親しんでいる私にこの時代は辛すぎてしまう。
そんな私の悩みに共感をして相談にのってくれたのが佐助くんだった。
佐助くんは、謙信様に勝負を挑んで勝ったら褒美として戦について行くことを許可してもらえばいいんじゃないかと提案してくれた。
考えに考えた結論が──
謙信様に勝負を挑むこと。
ご褒美内容は言っていないけど、そのことを話すと謙信様は愉しそうに笑みをうかべ勝負を受けてくれた。
とは言っても、相手は軍神と呼ばれる人。素人の私がいくら頑張っても謙信様に勝てるわけはないんだけど
(それでもハンデをもらって、寝ている時でも食事の時でも仕掛けていいとは言ってもらったんだけどね)
「……今回も失敗しちゃった」
ため息が口からこぼれてしまうけど、諦めたくない。
私の謙信様への想いは変わらないから。
「愛香」
「……?」
盃……?
「今宵は月が美しい。月を愛でながら呑み交わすのも格別だぞ」
「そうですよね……」
焦って、落ち込んでもしょうがない。
気持ちをを切り替えて、呑みながら次の作戦でも考えようかな
(謙信様を酔わせて隙を突くのも有りだよね)