第46章 ピックアップ御礼作品【月夜に抱かれて】/謙信
なみなみと注がれたお酒に映るのは青白く光るお月様。
盃に口をつけるとお月様が揺らめいて、まるでお月様を飲み込んでいるみたいな気分になってしまう。
「ん……美味しい」
ゆっくりと飲み干したお酒は、私の喉を通り体中に熱を運んでいくようで少しだけふわふわとしてくる。
「謙信様もどうぞ」
盃を謙信様に渡して徳利で注ぐと、一気に飲み干す謙信様。相変わらず見事な飲みっぷりに、胸が騒いでしまう。
謙信様に触れたくなってしまった私は、肩にもたれかかると弄ぶように謙信様の手が私の髪を撫であげていく。
いつまでもずっとこうしていたい。
勝負の事も忘れて私はお月様を眺めながら、謙信様との甘いひと時に酔いしれてしまう。
「愛香……」
低くて艶のある声で名前を呼ばれただけなのに、私の体の奥が疼いて止まらなくなる。
「勝負のやり方を変えてやってもいいぞ」
「え……?」
突然の申し出に私は意図を探るように謙信様を見つめてしまうけど、愉しげに笑みを浮かべているだけ。
「勝負のやり方を変えるって?」
「俺に抱かれている間、1度も達する事なく先に俺が達っしたら俺の負けにしてやろう」
「え……?!」
「どうする?───受けるか?」
……謙信様に抱かれて1度もイカないなんて
そんなの無理じゃない
(見つめられるだけでもイキそうになっちゃう時だってあるのに)
でも、隙を突いて1本を取るならば、まだ私が死に物狂いで耐えればチャンスはあるかもしれない。
「わかりました……見事、勝ってみせます」
覚悟を決めて謙信様を見据える私。
絶対に私の願いを叶えてみせるから。