第44章 桜舞い踊る/伊達政宗
不安に押しつぶされそうになっていると、籠の揺れが止まったみたい。
誰かに腕を引っ張られて籠から出ると、すぐに横抱きにされた
この香り……
わかっちゃった
私を抱き上げてくれているのは__
私の大好きな人
「政宗……」
「よくわかったな」
「どうして目隠しなんかを?」
「まあ、愉しみにしていろよ」
顔は見えないけど声の調子でわかってしまう。
私を驚かせようと何か企んでいるんだよね。
(目隠しされて拉致同然に連れて来られただけでも、十分にびっくりしてますけど)
「よしっ! 着いたぞ」
「どこに?」
「待ってろ……今、目隠しを外してやるから」
「ん……」
「ゆっくりと目を開けろよ」
衣擦れの音がして目隠しを外されてたのがわかった。
政宗の言うとおりにゆっくりと目を開けると
「うわぁ……」
目の前には大きな桜の木
満開に咲き誇り、月と星の明かりで照らし出されている
何とも言えない幻想的な景色にただ、見惚れてしまう。
「綺麗……」
「だろ?__愛香と一緒に見たいと思ってな」
「普通に誘ってくれれば良かったのに
何をされるのかわからんなくて変にドキドキしちゃったよ」
「普通に誘ってもつまらないだろ?」
まるで小さな子供が悪戯が成功して自慢気に笑うような顔している政宗
瞳がキラキラとしていてなんだか可愛い
自由な発想をする政宗らしい