第43章 愛の毒/徳川家康
「自分でも噛んでごらん」
「うん……あ……」
先ほどの喜びに満ちた笑顔は、落胆へと変わっていく
どうして?
痛くないの?
焦りから何度も歯をたて自分の指を噛むが痛くない
家康に噛まれた時は確かに痛みがあったはず
「……愛香」
「っ……家康っ……」
「噛みすぎ……血がでてる」
むきになって噛んだせいか、指先から血が滲んでいた。家康は、指を口に運ぶと丹念に舌で舐めとる
「ンッ……ぁ……」
自分で噛んでも感じない指
でも、家康に触られると痛み以外もちゃんと感じる
「俺がちゃんと感じさせてあげるから」
「……うん」
「愛香は俺だけを感じてればいい」
「……うん」
「俺だけが愛香を愛する事ができる」
「……うん」
呪文のように繰り返される言葉
その言葉が霧のかかったような頭に何度も響いてくる
そうだ……
私は家康だけを感じてればいい
私は家康に愛されるためだけに生きてるんだ
この体は私のものじゃない
家康のもの__
すべての緊張感が解き放たれていく
鉛のように重かった体が、家康の口付けを受けるたびに軽くなっていく
甘い痺れが全身を覆い、体の奥が熱く疼いてくる
家康ダケイレバイイ__