第40章 素直になれなくて/織田信長
「……何か?」
自分でもイヤになるくらいツンツンしている声。
でも、イライラしている私に甘い声なんて出せないよ
「病で伏せっているから夜伽が出来ないと聞いたぞ」
「御館様! 愛香はだいぶ良くなりまして」
「秀吉、下がれ」
「はっ!」
信長様に一礼をすると部屋を出ていく秀吉さん。
2人っきりだとかなり気まずいんだけど……
「貴様……なぜ夜伽を断った?」
責めるような口調に気まずさが、イライラに変わってしまう。
「なぜ? ご自分の胸に手を当てて聞いたら?!」
「……」
横目で信長様を見ると__
本当に自分の胸に手を当てて首を傾げてるんだけど
(どうしよう?
可愛くてイライラがすっ飛んでしまいそう)
「覚えがないな」
口の端を持ち上げ、瞳が愉しげに揺れ動く
分かってるわよね?
分かっていてわざと言ってるよね?!
「そうですか……わからないのなら結構です!
とにかく! 私は夜伽のお相手はしませんから!!
あの姫君でも所望なさったら?!」
「ほう……貴様がそれを言うのか」
「っ……」
怒りに任せて言ってしまったのを激しく後悔するけど、今更取り消す事なんて出来ない
「その言葉__忘れるなよ」
冷ややかな視線を私に落とすと部屋を出ていく信長様。
私は苛立ちと焦燥感で胸が張り裂けそう