第40章 素直になれなくて/織田信長
そう、信長様の傘下に入りたい大名たちは、こぞって信長様のご機嫌とりをしてくる。
そんな中でかなり力のある大名が、自分の姫君を信長様の正室にと送ってきたのが私のイライラの原因。
確かにその大名と親子関係を結べば、戦をしないで済むんだろうけど……
分かってるよ
私はこの時代の人間じゃない。
信長様を助ける事の出来る後ろ盾なんて持ってない。
今回の事だって信長様の事を思えば、私が身を引くしかないんだよね
そう思って信長様を諦めようとしているのにっ!!
信長様は私に夜伽を命じてくる。
(抱かれちゃったら決心が鈍るじゃない!)
秀吉さんは信長様が正室を迎えても、名前ばかりの正室だから気にするなっていうし
(だから、夜伽を断るなって言ってるんだけどね)
そんなの理解出来るわけないでしょ?
私の常識では一夫多妻制なんて認める事なんて出来ないもん。
「信長様の立場も少しは考えろよ」
「私の気持ちも察してよ!!」
近くにあった小箱を秀吉さんめがけて投げ付けるけど、秀吉さんには当たらずに廊下へと転がっていってしまった。
「ずいぶんと勇ましい病人だな」
渋い低い声が聞こえてきて、すぐに私の心が跳ね上がる。