第39章 月が隠れているから/上杉謙信
いつもより半刻ほど遅くなってから愛香の待つ閨へと訪れた謙信。
「今日は閨に来るのが遅かったのね」
「そんなに可愛い顔してむくれるな
__食べてしまいたくなる」
目を細め愛香にだけ見せる笑顔で、歯をたてるように口付けをする。
「んっ……」
むくれていても謙信から甘くて激しい口付けを受け取るとすぐに機嫌を直し、目尻をさげ微笑む
同じ顔、同じ髪色
同じ瞳の色
謙信が右がグリーン 左はブルー
愛香は右がブルー 左はグリーン
違うのはそれだけ
産まれる前から一緒にいる2人は、とても仲良し
神に逆らうくらいに__
お互いに愛し合い、必要とする2人
離れられないし、離す気もない
心が想うがまま
身体が求めるがまま
素直に激しく、求め合う
「ね……また、縁談の話しがあったの?」
「誰に聞いた?」
「噂好きな家臣たちが……ねっ」
「名前を言え」
「駄目……言ったら斬り捨てる……でしょ?」
「当然だ」
愛香の耳に余計な情報をいれた罪は重い
その償いは命で落とし前をつけさせる
愛香を愛する謙信にとって家臣の命など、虫けら同然である。
愛するが故に非情にも冷徹にもなれる