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イケメン戦国◇甘い囁き◇R18

第39章 月が隠れているから/上杉謙信


「愛香に縁談……?」

「ああ……是非にと言ってきているぞ」

「ふんっ……馬鹿馬鹿しい」


脇息にもたれ、酒をあおる謙信は冷笑を浮かべ信玄を見据えた。


「よほど国を滅ぼしたいとみえる。退屈しのぎに攻め滅ぼしてやる」


謙信の双子の妹である愛香に縁談話が持ち上がったのである。
相手はかなり大きな国を治める武将であり、人柄も良く見目麗しい男だそうだ。


「また断るのか?」

「当然だろう」

「お前がそんなんだから愛香が嫁にもいけず、女の幸せを手に入れることも出来ないんだぞ」

「愛香に相応しい男がこの世にいないのが悪い」

「まったくお前の愛情深さには頭があがらないな」


笑いながら信玄もまた酒をあおる。


「さて……そろそろ俺は失礼するか」

「また女か……」

「約束しているからな」

「信玄こそ早く身を固めた方がいいんじゃないか?」

「本当に欲しいと願う女は手に入らぬものだよ」

「……そうか」



まあ、俺には滅ぼされる国などないが……
その代わりに命を取られそうだ


決して謙信には言えないと思いながら信玄は、広間から出た。



「たとえ信玄であっても愛香を欲したら……迷いもなく切り刻むけどな」



薄笑いを浮かべる謙信の瞳は真剣だ
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