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イケメン戦国◇甘い囁き◇R18

第37章 風邪の妙薬/真田幸村


佐助から預かった薬を大事そうに抱え、幸村が仮宿としている庵へと向かう愛香。


幸村に逢うのは久しぶりである。
逢える嬉しさ半分、体調を心配するのも半分

なかなか複雑な感情が交差するが、一刻も早く逢いたいと思う気持ちが彼女の足取りを早める。



「幸村……愛香だけど」

「おー……」


声をかけ、中に入ると一応布団に入って寝ていた様子の幸村の姿


「風邪……大丈夫?」

「これくらい大丈夫だ」


笑みを作ってみせるが、やはり軽い風邪ではないようだ。
熱のせいか瞳は潤み、頬がうっすらと染まっているし何より、声が若干掠れている。


「熱……あるよね?」

「あー? ねーよ」


幸村の額に当てた手が熱さを感じる。


「薬、飲んでね」


佐助から預かった薬を目の前に差し出すと露骨に嫌な顔をする。


「いらねーよ」

「飲まなきゃダメだよ」

「気合いで治す!」

「気合いだけじゃ治らないでしょ」


押し問答を繰り返すが、愛香の必死さが伝わったのか渋々と薬を口の中に放り込む幸村。


「うっ……苦い」


口の中に苦さがまとわりついていて、眉をしかめてしまう。


「これ食べて」

幸村の口の中に入ったのは信長からもらった金平糖。


「んっ……」

「どう? 苦いのなくなった?」

「うーん……」


舌の上で転がしていると甘さが広がり、苦さがなくなったような気もする__

が、唾液とともに胃へと降りていくに従って身体が熱く疼いてくる。
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